ビンテージ和牛とは
健康的に長く生きた牛こそ
味わいにやさしさが極まる
私たちは、出産経験のある経産牛のことをビンテージ和牛と呼び、とても大事にしています。月齢を重ねた牛たちは、長く生きれば生きるほど脂の質も安定し、成熟した深みのある味わいとなっておいしさを増すからです。きめ細やかな霜降りの入った肉は24〜25℃でホロリと溶け、独特の香りとともに口のなかで消えていく、他では味わえない食感へと変化します。これらの理由からウシトミライでは経産牛のみならず、牛の生涯を考え長期的な視点に立った育みを目指しています。肉や脂をよくするための短期的な肥育ではなく、牛の健康と幸せを充分に配慮すること。自社独自の栄養豊富な配合飼料に加え、農業生産や食品加工から出る残渣を再利用した発酵飼料を与えることで、牛の腸内を整え、健康的にコンディションを向上させ、より資質に優れたビンテージ和牛へと導いているのがウシトミライの取り組みです。
牛と大地を健康にする
発酵エコフィード「げんきのこ」
廃棄されるきのこの菌床を活用し牛の健康を守る
〉菌床の研究について
前述したようにウシトミライで与える飼料は、ちょっと違います。本来は廃棄対象となる、キノコを生産した後の菌床を主材料に、独自ブレンドした発酵飼料へと進化させているのです。そもそも菌床は、トウモロコシの芯を乾燥し粉砕したコーンコブミールやおから、ふすま、米ぬか、大豆の皮といった栄養たっぷりな原料でできています。それに加えキノコを収穫したあとの菌床には、免疫力や感染症への抵抗力を高めるグルカンで構成された菌糸が詰まっていて、これらが牛の体内バランスを整えながらストレスを低減する働きがあると言われています。この収穫後の菌床に味噌を加え撹拌し、30日間密封貯蔵して乳酸発酵させた飼料が、「げんきのこ」です。乳酸発酵することで有機酸やアミノ酸、香ばしさの元となる香気成分が増加。おいしさと保存性に優れた栄養満点な飼料となって、牛の腸内と健康を支えています。この飼料がもたらす影響で、総コレステロール値も低くなり、肝機能を良好に維持することが研究結果で明らかになっています。また、糞を採取して調べたところ、微生物や腸内細菌の数が増え、菌の種類も多様性が増すことがわかりました。微生物が多い糞は堆肥の発酵を促進し、さらに良質な堆肥へと変化します。これを畑や田にまくことで農業に活かすことができ、農畜産が連携した理想的な循環型産業を実現。牛の健康のみならず、大地も健やかにすることも、僕たち牛飼いの使命だと思っています。